市川崑監督作品・映画「天河伝説殺人事件」感想

天河伝説殺人事件

1991年 / 日本 / 109分
 
監督 / 市川崑
原作 / 内田康夫
 

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キャスト /
榎木孝明(浅見光彦)
岸惠子(長原敏子)
日下武史(水上和憲)
財前直見(水上秀美)
山口粧太(水上和鷹)
山口真司(水上和春)
岸田今日子(水上菜津)
岸部一徳(道伝正一)
大滝秀治(仁礼神官)
加藤武(仙波警部補)
斉藤洋介(倉田刑事)
伊東四朗(剣持譲介)
石坂浩二(浅見陽一郎)
 

ストーリー

能楽の名家・水上流宗家・水上和憲(山口粧太)は、孫である水上和鷹(山口粧太)と水上秀美(財前直見)の異母兄妹のどちらかを後継者として継がせ、引退を目前にしていた。
ある日、東京の街中であるサラリーマンが謎の死を遂げ、浅見光彦は旅館・天河館の女将・長原敏子(岸惠子)と出会い、一見繋がっていないかのような出来事はやがて一つの悲しい事件として点と線がつながっていく。
 

ナビ

市川崑監督作「犬神家の一族」に出演していた石坂浩二、加藤武、大滝秀治などが出演している。加藤武が演じる警部補は「犬神家の一族」で、粉薬を飲んでいたり、事件の真相がわかったと手を打つポーズなどはそのまま引き継がれている。

 

天河伝説殺人事件
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おすすめしたい人

・ミステリー、サスペンスが好きな人
・ジメジメしていたり、おどろおどろしい雰囲気が好きな人
・浅見光彦、内田康夫ミステリーが好きな人
・市川崑監督作品が好きな人

 

感想

前回、市川崑監督作品「犬神家の一族」について感想を書いたので、その流れで今回は市川崑監督、内田康夫原作の浅見光彦シリーズ「天河伝説殺人事件」についての感想です。
 
内田康夫の浅見光彦シリーズは、2時間のテレビドラマのサスペンスもので内田康夫や浅見光彦というキーワードは知っていましたが、今まで映像作品も小説にも触れる機会がなくそこまで興味を魅かれることもなく、今回が初内田康夫、初浅見光彦になります。
 
市川崑作品としては観てみたら「犬神家の一族」からの流れもありますので、なるほどなぁと思いながら、発見などもありながら観ることができました。
でも、浅見光彦の物語としては微妙かなと感じました。
というのも、浅見光彦シリーズに触れる入り口としては、映像が市川崑色が強過ぎるからなのか、僕自身が市川崑映画を意識し過ぎているからなのか、そちらが強すぎてあまり適切な入門作品ではないなと思いました。
原作の小説を読んだり、他の映像作品なら内田康夫ミステリーの魅力や浅見光彦のキャラクターに興味を持てたかもしれません。

とは言え、市川崑作品が好きな者としては、楽しんで観れました。
 
さすが、市川崑、光と影の演出による画作りは「犬神家の一族」からさらに進化していました。
むしろちょっとやり過ぎじゃないかと思うくらい、いえ、やり過ぎですね、あれは。
画面の6、7割を影が覆っていて、その辺のホラー映画よりも影の割合は多いんじゃないでしょうか。
昼間のシーンでもどことなく暗い感じがあって、とにかく全編を通して影がまとわりついている感じでした。
 
浅見光彦を演じる榎木孝明が映る時は、ちょっとドキッとしたりしましたね。
画面のほとんどが暗く、顔の半分も影に隠れていて、ちょっと怖かったです。
役の演出なのか、元々そういう人なのかはわかりませんが、あまり瞬きをしない少し大きな目が真直ぐ過ぎるくらい真直ぐな視線で、異様さを漂わせていてちょっと狂気を感じましたし、あの不自然過ぎる黒々とした眉とかは一体どういうつもりなんでしょうね。
1991年はバブルの頃ですから、太い眉とかが流行していたからなんでしょうかね。
 
石坂浩二が榎木孝明の兄として出演していますが、石坂浩二が金田一耕助に続き、浅見光彦を演じていたら好感を持てたかもしれません。金田一耕助のイメージが定着してしまっているので、浅見光彦感が薄まってしまう弊害はあるでしょうけど。
なので、最後の方で石坂浩二が画面に出てきた時はホッとしましたね。眉は普通ですし、視線も普通なので、普通の人間に安心感を抱くとでもいいましょうか。
 
榎木孝明が嫌いなわけではないんですよ。
NHK「真田丸」に出演してましたが、全然普通に見れましたので。
 
映画が意図していない部分で、ドキッとさせられたり怖さを感じたりしてしまいました。物語自体は、そこまで驚くようなミステリーでもないように思いました。
良くも悪くも2時間のサスペンスドラマ的とでも言いますか、「犬神家の一族」を観た後だと、能楽の後継のゴタゴタによる殺人事件「水上家の一族」はちょっと霞んでしまいました。
 
もし何かホラー映画を観ようかなと思っている人は、ぜひ「天河伝説殺人事件」の榎木孝明の異様さを感じる目と影よりも濃い眉でドキッとしてみてください。