リップヴァンウィンクルの花嫁

リップヴァンウィンクルの花嫁

2016年 / 日本 / 180分

監督・脚本・原作

岩井俊二

 

キャスト

黒木華(皆川七海)、綾野剛(安室行舛)、Cocco(里中真白)、原日出子(鶴岡カヤ子)、地曵豪(鶴岡鉄也)、和田聰宏(高嶋優人)、金田朋夫(皆川博徳)、毬谷友子(皆川晴海)、夏目ナナ(恒吉冴子)、りりィ(里中珠代)

 

ストーリー

SNSで知り合い結婚することになった派遣教員の皆川七海(黒木華)は、親族が少ないことを気にして、何でも屋の安室(綾野剛)に結婚式の代理出席を依頼して式を挙げる。
新婚早々に夫の浮気を疑い、浮気相手の恋人と名乗る男が現れ、再び何でも屋の安室に相談して調査を依頼するが、真相を知り、追い討ちをかけるような仕打ちを受け、失意の底に沈んでいく七海。
そんな七海に安室は親身に相談に乗り、月給100万円のメイド業を斡旋する。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁
岩井 俊二
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9月2日にDVD、Blu-rayが発売されます。
岩井俊二監督最高傑作の「リップヴァンウィンクルの花嫁」を手元に置いておけるなんて、なんて幸せなことなんでしょうか。

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ナビ

「リップ・ヴァン・ウィンクル」とは、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる短編集「スケッチ・ブック」の一編。「浦島太郎」の西洋版のような作品。

 

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岩井俊二監督の長編実写の日本映画としては「花とアリス」(2004)以来12年ぶりの作品。4年ほど掛けて、小説を執筆して、映画の撮影をしては脚本を変更したりして完成に至る。撮影は約1年間行われた。

 

Coccoは、岩井俊二監督がまだ駆け出しの頃のテレビドラマを見て、一切面識も何もないにも関わらず、ドラマのエンドロールにあった「岩井俊二」にいつか会うと漠然と思い、それから20年以上経ち「リップヴァンウィンクルの花嫁」で念願の岩井俊二作品に出演を果たす。

 

おすすめしたい人

・岩井俊二映画が好きな人(だったら絶対に観に行ってください。期待を軽く上回るはずです。)
・今勢いのある女優黒木華に注目している人
・綾野剛の色んな服装、表情、綺麗なお尻を見たい人
・現代を生きる女性
・SNSにどっぷり浸かっている人
・キュートな映画が好きな人

 

感想(ネタバレはしていません。)

3月16日・新宿バルト9で行われた「リップヴァンウィンクルの花嫁」完成披露上映会に行ってきました。
まだまだ鑑賞後の興奮が一向に醒めないので、その勢いでちょっと書いてしまいました。
映画の内容には極力触れていませんので、ご安心ください。

 


後半のプレス撮影の時に僕が少し映っていて、二人と同じフレームに入っているだけでもう幸せ過ぎます。

 

まず、初鑑賞後の正直な感想は、
素晴らしい!
あの岩井俊二だ!
これを待っていたんだよ!
これが岩井俊二の映画なんだよ!
あぁ、こんな映画で出会えてなんて幸せなんだろう。
でした。

 

待ってました!これでこそ僕の知っている岩井俊二映画だと思いました。
あぁこういう感じ良いなぁ、おぉそうくるかぁ、攻めるなぁ、と集大成的でありながら、新しい印象を受けました。

 

岩井俊二映画というと好みの好き嫌いで分かれたり、世界観や漫画的な演出、映画としての軽さ、薄さなど批判的な意見があったりすると思います。
正直、僕は映画芸術のことはよくわかりませんし、映像とかの深く広い知識もありません。
でも、「リップヴァンウィンクルの花嫁」がどのような評価や支持をされているのかは知りませんが、僕はこの映画が大好きです。
映画として優れているとか映像表現をさらなる高みへと押し上げたとか、そんなことはどうでも良いんです。
このなんとも、うまく言葉として表せないもどかしさがありますが、とにかく大好きな映画です。
ただ、それだけです。

 

なんだか色々と個人的に思うところがあり、感慨深いものがありました。
僕は、岩井俊二監督の「LoveLetter」「スワロウテイル」「リリィ・シュシュのすべて」と、当時「岩井美学」と呼ばれ日本映画の若手監督の中では群を抜いて素晴らしい映画を作っている頃からのファンです。
やっぱり何と言っても映像が美しいです。
当時のCMやテレビのタイトルバックを見たときに何か岩井俊二っぽいなと感じて、調べてみたら岩井俊二だったりして完全に染まっていました。

 

そんな岩井信者ですが、「花とアリス」以降の作品はどうも好きになれなくて、なんだかんだ思いつつも観たりはしていたんですが、「花とアリス殺人事件」はまだ未見です。
「ヴァンパイア」は好きです。でも、やっぱり日本で日本の女優で日本の女の子を撮ってこそ岩井俊二だと思いますので、英語で海外の俳優だと少し違和感があって苦手な方でした。
その辺から少し岩井映画には距離ができていったと思います。
正直なところ僕の勝手な印象ですが、岩井俊二は「リリィ・シュシュのすべて」に色んなものを注ぎ込んでしまって燃え尽きた感、大傑作を創り上げてしまった吹っ切れ感のような感じでした。

 

今回「リップヴァンウィンクルの花嫁」も正直どうなんだろうと思ってました。
予告で映像を見ても、以前ほど気持ちを掴まれなかったです。Coccoの歌声は良かったんですけどね。
一応、原作本(岩井監督のサイン入り!)は購入してはいたもののまだ読んでません。
普段は結構予習をしてから映画にのぞむんですが、今回は予備知識なしでまっさらな状態で映画を鑑賞しました。

 

逆にそれが良かったのかもしれません。
映画が始まって最初のカットからはもうザワザワ鳥肌が立ち放しでした。
美しい映像、微妙に揺れるカメラ、現代の女性を演じる黒木華の雰囲気、綺麗なクラシックの音楽、テンポの良い編集、などなど
あぁこれだよな、岩井俊二の映画ってこういう感じだったよな、と。
何だか嬉しくなって、それだけで泣きそうになりました。
何だか昔の心から安心できる人や好きだった人に再会をした時のような感覚とでもいいましょうか、そんな懐かしくもあり、ほっとしたようでもあり、嬉しさがふつふつと湧き上がってくるような感覚でした。

 

全編を通して黒木華が出ずっぱりで、自分の意思よりも周囲の状況や人に流されやすい女性を演じています。上映時間180分と超大作な訳ですが、もう次から次へと場所が変わり、色んな人物が画面に出ては消えていき、目まぐるしい展開が繰り広げられます。
鑑賞後は、ジェットコースターのような展開の目まぐるしさと上映時間的にも結構疲れているのではないでしょうか。

 

「花とアリス」が苦手だったのは、「リップヴァンウィンクルの花嫁」同様色んな人物が出てきたり、10代の少女らしい目まぐるしい展開、突拍子もない展開にと振り回された感があって、鑑賞後はどっと疲れたからかもしれません。
10代の若者と接すると疲れますよね。たぶん、そんな感じで「花とアリス」が苦手だったのかなと思っています。
この機会に改めて過去の作品を観直してみようかなと思っています。

 

「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、鑑賞後の疲労感を上回るほどの映画を観た・体験したという満足感を与えてくれます。
スターウォーズを4DXで鑑賞するよりもずっと映画を体験する感覚がありました。もちろん、僕の勝手な個人的な感想ですけどね。
でも、きっと良い映画を観た後の心地よい疲労感と充足感を得られます。
それは、黒木華(皆川七海)が映画の最後に到達する場所、感情、表情と同じような気持ちで映画館を後にできるはずです。

 

もし、僕と同じように「花とアリス」以降どうも岩井映画に乗れなかった方は、是非安心して「リップヴァンウィンクルの花嫁」を鑑賞してください。これが岩井俊二の映画だったと懐かしくなり嬉しくなり、ファンとしての想いは更新され、新しい世界へと連れていってくれます。
もちろん、「花とアリス」や過去の岩井映画が好きな人なら絶対に楽しめる映画です。
是非、岩井俊二の「リップヴァンウィンクルの花嫁」ワールドに目一杯振り回されてください。

 

鑑賞後、劇場を出て行く観客の反応も良く、笑顔が多かったと思います。
映画の上映前には、岩井俊二監督、黒木華の挨拶とちょっとしたトークがあり、プレス撮影が行われました。劇場の入り口では、観客みんなに「ねこかんむり」を配布され、プレス撮影の時にはみんな被って行われました。
鑑賞後、「ねこかんむり」を被ったまま劇場を出て行く観客の列が続いてました。

 

3月26日(土)から全国公開で、初日には舞台挨拶もあります。
チケットは抽選になっていたので、運が良ければまた生で岩井監督の挨拶を聞きたいです。もちろんチケットが外れても、劇場鑑賞2回目「リップヴァンウィンクルの花嫁」に行きたいと思っています。

ちなみに、「リリィ・シュシュのすべて」は、当時渋谷のシネマライズに電車の始発で向かい、初回上映の舞台挨拶を見て、その後劇場に通い、鑑賞した回数は7回(毎週行っていたと思います。)になります。DVDももちろん購入して定期的に観たりしているので、結構な回数観ています。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、一体何回劇場に行くことになるんでしょうか。

 

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