リップヴァンウィンクルの花嫁 [Blu-ray]

リップヴァンウィンクルの花嫁

2016年 / 日本 / 180分

監督・脚本・原作

岩井俊二

 

キャスト

黒木華(皆川七海)、綾野剛(安室行舛)、Cocco(里中真白)、原日出子(鶴岡カヤ子)、地曵豪(鶴岡鉄也)、和田聰宏(高嶋優人)、金田朋夫(皆川博徳)、毬谷友子(皆川晴海)、夏目ナナ(恒吉冴子)、りりィ(里中珠代)

 

ストーリー

SNSで知り合い結婚することになった派遣教員の皆川七海(黒木華)は、親族が少ないことを気にして、何でも屋の安室(綾野剛)に結婚式の代理出席を依頼して式を挙げる。
新婚早々に夫の浮気を疑い、浮気相手の恋人と名乗る男が現れ、再び何でも屋の安室に相談して調査を依頼するが、真相を知り、追い討ちをかけるような仕打ちを受け、失意の底に沈んでいく七海。
そんな七海に安室は親身に相談に乗り、月給100万円のメイド業を斡旋する。

 

ナビ

 
岩井俊二監督「リップヴァンウィンクルの花嫁」の予告で黒木華演じる皆川七海が何やらけったいな被り物をしています。

 

紙で作られた猫のような形状をしています。
これには一体どんな意味があるのでしょう。
何かの象徴なのでしょうか、映画の中で重要な役割を果たすアイテムなのでしょうか。

 

「リップヴァンウィンクルの花嫁」というタイトルですので、和装結婚式の時に花嫁が頭に巻く白い布「角隠し」のようにも見えますね。
少し調べてみると、
・角隠しには「角を隠して夫に従順に従う」という意味が込められていて、 昔は女は嫉妬に狂うと角が生えて鬼になるという言い伝えがありました。
鬼になるのを防ぐおまじないとしてお寺に参る際に角隠しをかぶったことが由来とされる説があるようです。
・結婚する相手以外には、顔を見せないという習慣によるものという説もあるようです。ウェディングドレスのベールと同様の意味を持つようです。
・ベールは清浄のシンボルとして、悪魔や悪霊から身を守る意味があります。

 

名称は「ねこかんむり」というものらしいです。

 

「ねこかんむり」についての僕なりの解釈です。
と言っても、一目で何を表しているのかは、すぐにわかりますよね。

 

「猫をかぶっている」(本当の性格を隠しておとなしそうに表面だけをよく見せたり取り繕うことを意味します。)ということわざがありますが、それをそのままビジュアル化したものではないでしょうか。

 

「リップヴァンウィンクルの花嫁」の劇中でも登場して重要なキーワードになっているfacebookやtwitter、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がポイントです。
今では、当たり前になって身近になって、なくてはならないものになったSNS。
現代を生きる人たち、特に若い世代の人たちは、SNSで人と繋がったり失ったり傷ついたり、あるいはもう一人の自分として生きたりしているのではないでしょうか。そんなSNSが当たり前にある現代の自分たちの姿を表しているのではないかと思います。

劇中でもそんな感じのことを言う会話がありました。
今時の僕たちは、現実の本当の名前とSNS上での名前と二つ名前を持っているでしょう、と。(すみません、正確なセリフではないんですが、こんな感じだったと思います。)

 

現実の実際の自分とSNS上の作られた自分、取り繕われた良い自分、別の人格の自分。
つまり、本当の自分と猫をかぶっている自分を表しているのかなと思います。

 

ちょっとあざといなぁと思ってしまうんですが、ねこの被り物を若い人、女の子受けが良いように可愛げのある感じに作っているのが、僕的にはちょっとどうなの?とは思ってしまいます…
明らかに女性受けを狙った「ねこかんむり」関連のグッズが色々と販売されるようですね。
また、猫というと、最近ではネット上に猫の画像が氾濫していますよね。やたら猫好きが増殖していますよね。
他には柴犬とか一時はハリネズミなんてのもあふれていましたね。そんな状況もあって、猫をフィーチャーした被り物になっているのではないでしょうか。

 
 

劇中で使用されている「SNSアプリ Planet(プラネット)」のアイコンにも「ねこかんむり」は象徴的に使用されていました。
期間限定ですが、映画の世界から飛び出し、実際にアプリとしてスマホで使えるようですね。

 
 

「ねこかんむり」そっくりな被り物をしているミュージックビデオがあります。
古川本舗「HOME」です。
撮影時期が重なっていたんでしょうか。気になる方はチェックしてみてください。曲の方は、繊細な声の曲で素敵な曲でした。

 

 

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そして、「ねこかんむり」が何故、紙で出来ているのか。
例えば、もっとかわいらしくしてニットで出来た猫の帽子とかでも良かったはずなのに、紙という素材だったのは何故なんでしょうか。

 

それは、脆さ、危うさ、繊細さ、傷つきやすさなどを表しているように思います。

 

岩井俊二監督のドキュメンタリー映画「friends after 3.11」で使用されていた曲のRADWIMPS「ブレス」にこんな歌詞がありました。

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「触れたら 壊れてしまいそうで
 触れなきゃ 崩れてしまいそうな 君を」

 

ちなみに、「リップヴァンウィンクルの花嫁」にはほんのちょっとだけですけど、RADWIMPSの野田洋次郎が出演しています。

 

つまり、紙で出来ているので乱暴に扱えば壊れてしまうし、そっと押さえないと風で飛んだり脱げてしまいます。優しく扱わないと壊れてしまうものとして素材に紙が使われているのではないでしょうか。

 

現実の実際の自分とSNS上のねこをかぶった良い自分の脆さや危うさ壊れやすく、優しさや繊細さを持った存在。
そんな現代の自分たち、若い世代の人たちを「ねこかんむり」が象徴しているのではないのかなと僕なりに解釈をしてみました。

 

そうそう、先日の完成披露上映会では、プレス撮影用に観客みんなに「ねこかんむり」を配布されました。上映後は、そのまま持ち帰ることができました。素敵なお土産になりました。

 

9月2日にDVD、Blu-rayが発売されます。
岩井俊二監督最高傑作の「リップヴァンウィンクルの花嫁」を手元に置いておけるなんて、なんて幸せなことなんでしょうか。

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