コンテイジョン (字幕版)

コンテイジョン

Contagion
2011年 / アメリカ / 105分

監督/スティーブン・ソダーバーグ
出演/マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレット

ストーリー

香港へ出張していたベス・エンホフ(グウィネス・パルトロー)は、体調を崩していた。帰国後、急に容体が悪化し倒れる。夫のミッチ・エンホフ(マット・デイモン)は、妻をすぐさま病院へ運ぶが、処置も虚しく息を引き取ってしまう。
その数日後、息子もベスと同じように謎の病気により急に息を引き取ってしまう。
謎の感染症によって2人は命を落としてしまったのだった。
同時期に、ベスと接触をしていた人々も感染症によって命を落としていた。感染症は、瞬く間に世界中に広がっていき、未曾有の事態へと発展していく。

感想・鑑賞ポイント

映画「コンテイジョン」を未見の方は、ネタバレをしていますのでご注意ください。
ただ、この手の映画やディザスター映画は、絶望的な状況に陥りつつも、ラストでは何かしらの決着や事態の収束や命が助かるなどが常ですからネタバレも何もないのかなと個人的には思います。
それでも、どうせ助かるんでしょ、命からがら逃げきって希望を見つけるんでしょ、と分かっていても、映画的なスペクタクルやまだ見たことのない光景をどんな風に観せてくれるんだろうとワクワクしてしまう自分もいたりします。

映画「コンテイジョン」は、感染症の脅威によって世界中の人々が右往左往するストーリーです。
いわゆるディザスター映画、パニック映画というものです。
「ディープ・インパクト」「ツイスター」「デイ・アフター・トゥモロー」「2012」「クローバーフィールド/HAKAISHA」「タワーリング・インフェルノ」など、数多くあります。

感染症によって人々が右往左往するストーリーですので、天変地異、謎の怪獣が街を破壊するというような派手でいかにも映画的な場面はありません。
目に見えない細菌、ウィルスが映画の主役ですから、当然ですね。
派手なパニック映画を期待して観ると、肩透かしを喰らうことになります。
世界の混乱を観たいけど、隕石とか竜巻とか地球外生命体の侵略に飽き飽きしているなら楽しんで観れると思います。

僕は、アマゾンプライムビデオでたまたま何となく観ました。
以前から、目についてはいましたが、いまいち観ようという気にならなくて放置してました。特に魅かれる何かもなかったです。
なので、事前の予備知識はほとんどない状態での鑑賞でした。
パッケージを見れば、マット・デイモン、マリオン・コティヤール、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレットなど主役級の俳優が結構出演していること、監督がスティーブン・ソダーバーグなんだな、くらいの認識でした。

映画「コンテイジョン」は、淡々とストーリーが進行します。
先にも書いたように、ディザスター映画のような派手さはありません。
ハラハラドキドキもありません。
もちろん観る人によっては、このシーンはかなりドキドキするとか、全然ハラハラしたりもあると思います。
とにかく淡々とストーリーは進んでいき、映像も抑制の効いた画面、俳優たちの抑えられた演技など、それらによって映画「コンテイジョン」はなおさら淡々とした映画だなと感じました。

レオノーラ・オランテス医師(マリオン・コティヤール)は、香港で感染経路を調査。
ミッチ・エンホフ(マット・デイモン)とベス・エンホフ(グウィネス・パルトロー)の夫婦。
エリス・チーヴァー医師(ローレンス・フィッシュバーン)とエリン・ミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)は事態を食い止めようと奔走。
アラン・クラムウィード(ジュード・ロウ)は、ネットを利用し画策。
それぞれ主役級の俳優ですが、だれかの描写に偏ることなく、ここも淡々とそれぞれに配置されたストーリーをあくまでも淡々と描いていきます。

よくあるディザスター映画なら、家族愛、親子愛、夫婦愛などを絡めながらストーリーは進んで行くと思いますが、映画「コンテイジョン」はそういうお涙頂戴設定はさらっと見せる程度に抑えられています。
なので、過剰に感情を揺さぶってきて泣ける映画でもありません。

でも、つまらない、退屈、盛り上がりがない、というようなネガティブな印象は受けませんでした。むしろ、グイグイと映画に引き寄せられていきました。
映画「コンテイジョン」は、面白かったです。

では、映画「コンテイジョン」の何が面白かったのかというと、その淡々さだと思います。

各パートの俳優たちの描写は偏ることなく、ある場所である行動をしているある1人の人として描かれます。
それぞれの物語を紡いでいく画面も淡々とした編集によって、それぞれのパートが長くもなく短くもなく平等に配分されています。

ある人は、突然の病気で命を奪われた妻の夫。その夫の妻は命を落とす前に昔の男と逢瀬を重ねていた。
ある人は、混乱に乗じてお金を得ようとする。
ある人は、感染の恐れのある現場で、自らも感染してしまう。
他にも、様々な場所や状況に置かれた人々を描いていきます。
結構な登場人物の数ですが、それぞれを淡々と描いていきます。

映画が始まって、数分後にはグウィネス・パルトローが泡を吹いて死んでしまいます。
途中では、医師であるケイト・ウィンスレットが自らも感染していまい、あっけなく命を落とします。
これらも主役級の俳優があっけなく死んでしまって、えっ、と思ったのも束の間さらっと流れていきます。

それぞれのストーリーのパートを行ったり来たりしながら、感染はジワリジワリと確実に刻一刻と広がっていきます。
感染を食い止めるのも間に合わず、街を逃げ出す人々、店の商品を奪い合う人々、感染症の広がりと共に人々の混乱や狂気も次第に増幅していきます。

映画的な盛り上がりはなく抑えられた演出でストーリーは進んでいきますが、それでも、事態が危険な状況になっていく様は圧巻です。
そのジワリジワリと目に見えない脅威が世界中を侵食していく恐怖を感じられるのは、映画「コンテイジョン」の淡々さにあるように思います。

現実もそうであるように、時間は絶え間なく流れ続け、映画のように時間を圧縮したり、引き伸ばしたりはできません。
映画「コンテイジョン」では、人が死ぬ時はあっけなく死にます。主役級の俳優でもです。
大仰に泣き喚く暇はなく、時間は刻一刻と流れて、容赦なく他のパートに画面は切り替わります。
現実も容赦なく、物事は切り替わり、流され、当事者に何の前触れもなく災難が降りかかったりします。
映画「コンテイジョン」も同じように世界が作られ、演出されています。
それが、この映画の淡々さになっているわけですが、他のディザスター映画とは一線を画すリアルなパニック映画になっていると思いました。

CGを多用した隕石や怪獣ではそこまで身に迫ってはこないのではないでしょうか。
結局は映画の中のお話だからと、安心して観れると思います。
でも、映画「コンテイジョン」には、目に見えない感染症だからこその恐怖があるように思います。他のディザスター映画よりも、より身近で本当にありえそうな世界として感じられるのではないでしょうか。

観ようと思ってたけどまだ観てなかった、ちょっと変わったディザスター映画、リアルなパニック映画を観たい方は是非観てみてください。

それにしても、マット・デイモンへの仕打ちは感染症にかかってしまうよりも痛くて辛いものだろうなと、個人的にはそっちの方が辛く心に迫ってくるものがありました。
マット・デイモンとグウィネス・パルトローは夫婦で、グウィネス・パルトローが香港の出張で感染症を発症するところから映画は始まりますが、夫や息子がいる身なのに出張先で昔の男と会っていました。
帰国後、グウィネス・パルトローがすぐに死んでしまって、マット・デイモンは妻の不貞を後から知らされるわけです。
いやぁ、キツイですね。
生きているうちに知っていたら、怒りをぶつけたり、それぞれの道を歩もうと心の整理をつけることもできたのに、死なれてしまったらどうしようもないですよね。

よくあるパニック映画なら家族愛、夫婦愛、親子愛を絡めるわけですが、映画「コンテイジョン」はそれらをぶち壊す不貞が描かれます。
パニックが起こる状況では、人と人の絆や愛が深まるのが常のようですが、パニックの最中に愛する人の裏切りを知るのは辛いですね。

このシーンからもわかるように、安易なディザスター映画に飽き飽きしている方には、映画「コンテイジョン」はおすすめです。

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